「老後のお金」をちゃんと考えていないアラフィフ・独身必読!“60歳までにやるべき6つのこと”Photo:PIXTA

未婚、離別、死別を問わず、1人で自立した生活を送る人をさす「おひとりさま」。中でも生涯未婚のおひとりさまは、結婚や子供の成長といった大きなライフイベントがなかった分、長い目で資産を見なおす機会を持ちづらく、お金の面で無頓着になりがちだ。そこで今回、「おひとりさま」のマネー相談の経験が豊富なファイナンシャル・プランナーの田辺南香さんに、独身のアラフィフが、老後を迎えて後悔しないよう、今から手を打っておくべきポイントを教えてもらった。(山出暁子、ダイヤモンド・ザイ編集部)

細かいお金の計算よりも
まず「問題に気付く」ことが大事!

 「2030年には、男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚となる」という推定データがあるほど、「独身」は、もはや日本のスタンダードとなりつつある。しかし世に溢れる老後資金シミュレーションは「夫婦」「夫婦+子供」という前提モデルケースがまだまだ多い。パートナーなど、家族とリスクを分散できない「おひとりさま」の老後戦略は、夫婦世帯向けの戦略とは、異なる部分が多いのでは――。

 「おひとりさま」のマネー相談の経験が豊富なファイナンシャル・プランナーの田辺南香さんは、「いわゆる『おひととりさま』は毎日忙しく働いている分、先のことを考える余裕がなく、老後についてじっくり考えるタイミングを持てぬまま来てしまった人が多く見受けられます」と語る。

「そうした人たちが、『老後』が見えてくると、『身体が動かなくなったり、認知症になったりしたら、誰が助けてくれるのか』『いまの貯蓄で最期まで自分らしく生きられるのか』と急に不安になってしまうようです」(田辺さん)。

 特に男女を問わず50代になったところで、独身者の相談が増加するという。アラフィフになると定年退職が視野に入り、考えることを先送りにしていた”老後“が一気に現実味を帯びてくる。60歳まであと約10年。一人で生きなければならない独身は、今からの備えで間に合うのか。また、備えるべきことにはどんなことがあるのだろうか? 

「アラフィフの独身、『おひとりさま』は、長く自立して生計を立ててきてています。パートナーに頼らず、いろいろな問題を一人で解決してきた『しっかり者』が多いのが特徴です。ここで焦る必要はありません。まずは、細かいことよりも、『今、やっておくべきこと』を押さえましょう。それさえもできていない人が多いので、まず整理することが重要です。これからお話する6つのポイントに『気付く』ことが、まず第一歩になります」(田辺さん)

 アラフィフ・独身男女が、「60歳までにやるべき6つのポイントを田辺さんが解説する。

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60歳までにやるべきこと【1】
「ねんきん定期便」と向き合い、現実を直視する

 まず取り組んでほしいのは、「自分は老後資金がいくら必要なのか」をざっくりでも試算することです。「老後資金」とは、老後に予想される支出の総額から、老後に期待できる収入の総額を引いた不足額です。退職年齢や何歳まで生きるかは人によって違いますが、リタイアから90~100歳までとして、老後の期間は「30年」がひとつの目安です。今回は、老後を30年として考えてみます。