陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、「ギャンブラーの誤謬の誤謬」を取り上げる。
――問題です
以下のAさんの問題は何か。
Aさんは友人に誘われてとある非公認カジノに行った(ここではそのことの法的、倫理的な是非はいったん措く)。サイコロの目を当てるという単純なゲームだが、本日のゲームの開始時点から、40回ゲームが行われ、出た目は以下のようになっているという。
1:0回
2:9回
3:7回
4:9回
5:7回
6:8回
Aさんはこう考えた。「こういう時、素人は、そろそろ1の目が出ると考えて1に張っちゃうんだよな。でも、サイコロは常にどの目が出る確率も6分の1。そういう考え方はばかげている。ここは時計の秒針の数字でいこう。パッと時計を見て、その瞬間に、秒針が0秒から10秒の間なら1、10秒から20秒の間なら2…、ということでいくか。さて、どうだ。おっと、今7.3秒だから、1か。まあ、1が出る確率も6分の1だから、まずは1に張ろう」