ネットにおけるプラットフォームサービス
自社製品・サービスだけではく、他プレイヤー(企業、消費者)が提供する製品・サービス・情報と一緒になって、初めて価値を持つ製品をプラットフォーム製品・サービス(以下、適宜「PF」と表記)という。仲介サービス、コミュニティサービス、ゲーム機、電子書籍などがその例である。
前回は、なぜPFが一人勝ちになりやすいのかについて述べた。今回は、ネットPFサービスを対象に、この一人勝ちメカニズムに逆らって、後発ながら追い上げと逆転に成功した企業の戦略について詳しく見てみよう。
楽天トラベルvsじゃらんnet
日本における最初の宿泊予約サイトは、日立造船コンピュータ株式会社(当時)が1996年1月に開設した「ホテルの窓口」(のちに楽天トラベルと統合)だとされる。
その後、宿泊予約サイトは、ネット専業企業だけでなく、既存の旅行代理店やキャリア(航空や鉄道)事業者などの参入を経て、激しい競争市場となったが、先発した楽天トラベルがもっとも順調に利用者を増やしていった。
株式会社リクルートが運営する「じゃらんnet」(当時「イサイズじゃらん」)がサービスを開始したのは2000年11月で、「ホテルの窓口」の開設から約5年後であった。じゃらんnetは、サイト開設直後の数年間は利用者が伸び悩んでいたが、2003年頃に利用者が急伸し、楽天トラベルとのシェア格差を解消し、以後、現在に至るまで両者の拮抗状態が続いている。