Sシリーズが競合機種に水をあけられていた性能は大きく二つあった。一つは「セット替え」の時間だ。一口に段ボール箱と言っても種類は何万とある。段ボール製函機は、折り曲げ部分や印刷部分等のセットを替えることでさまざまな大きさ、仕様に対応するわけだが、このセット替えに必要な時間が長かった。

 そしてもう一つが「折れ精度」。段ボール箱は1枚の段ボールシートの端と端をのり付けして側面部分を作る。これをずれることなく正確に貼り合わせ、組み立て前の畳んだ形に折り曲げる精度が劣っていたのだ。

 もちろん、マイナーチェンジで少しずつ性能を上げてはいたが、競合他社の背中は近いようで遠かった。もはや、製函機事業を立て直すには起死回生の新シリーズを造るしかない──。そうして開発に着手したのがEVOLだった。

 まず行ったのは、小さな事業者から大手企業まで、国内外の顧客という顧客の意見を集めてニーズを正しく把握することだった。

 この調査、「実は意外な答えはそれほどなかった」と仁内は笑う。それでも、基本性能にこだわる顧客の要望を再確認できた。段ボール製函機には、ともかく折れ精度の高さが求められるということだ。

 それにしても、ちょっとくらい折り曲げ・のり付けがずれていたところで何か支障が出るのか。「少しのずれによって箱に隙間ができ、耐久性が失われたり、段ボール同士が重なってきれいにふたができなくなったりする。支障は大ありだ」。そう波多野は力説する。

 手作業で箱詰めするなら少々のゆがみも問題にはならない。だが、「最近は箱詰めも梱包工程も自動化されているから、箱自体の精度が求められる。折れ精度が低い機械は、飲料メーカーなどの重要顧客に敬遠されてしまう」(仁内)。