「おや、まだ研究中ですよね。それなのに95%以上の確率で分かるの。それに、九大が開発した検査とは違う検査なんだよね。それで本当にがんがあるかどうか分かるの」

 Aさんが尋ねると……。

「研究中だから、一般の人はまだ検査が受けられないんですよ。だから、“会員だけが研究協力”ということで検体を送り、検査してもらえるんです。それにこの検査はね、九大が特許を持っているんです、今、すごく注目されていますから、研究に必要な検体数はすぐに集まっちゃうでしょう。そうしたらもう必要なくなるので、会員になるなら今がチャンスです!」

 研究協力とはそういうものなのだろうか。仕事柄、なかなかがん検診に行く時間がない。値段も手ごろだし、入ってみてもいいかもしれないとAさんは思った。

 だが、さらに疑問が湧いた。

 そんなにすごい検査なら、わざわざ配置薬の業者に委託して協力者を募らなくとも、いくらでも協力してくれる医療機関はあるのではないか。天下の九州大学なのだから……。

 研究に協力する側がお金を支払うというのも、おかしな気がした。時折テレビで、新薬の臨床試験(健常者や患者など、ヒトを対象にして、薬や医療用具などの有効性や安全性などを検討するために医療現場で行われる試験)への協力者を求めるCMが流れているが、協力する側がお金を払うというのは聞いたことがない。

 それに何より、世界的にも注目されているすごい研究と、馴染みの配置薬業者の素朴な風体には、単なる偏見かもしれないが、大きなギャップがあるような気がした。