米国の実像は左翼国家
実はロシアと二卵性双生児

――確かに、安倍政権がどうのという前に、ほとんどの日本人は保守という言葉をそのように受けとめていませんね。では、ほとんどの国民が捉え違いをしているとしたら、その中で安倍政権はどんな方向へ進もうとしているのでしょうか?

 今の安倍さんがやっていることは、まさに「米国べったり」。どうして保守がそのような振る舞いができるのかは甚だ疑問だし、大問題であると僕は考えています。僕は何十年も前から指摘し続けてきたけれど、結論から言うと米国は「左翼国家」なのです。

 そもそも左翼とは、フランス革命期に急進的なジャコバン派が国民公会で左側に座って「自由、平等、博愛」と唱えたことがその由来となっている。彼らは「理性を宗教とせよ」とも訴えており、いわゆる合理を意味します。そして、これらを実践するために、旧体制を急速に破壊せよと扇動したわけです。

 その直前には米国の独立戦争も勃発しており、これに勝利した同国が制定した憲法も「自由、平等、博愛、合理」を掲げ、ジャコバン派の思想とほとんど変わらない。古いものは悪いもので、新しいものは良いものだというジャコバン派の考えに近いのです。

 それでも建国当初の米国には、欧州出身の上流階級による保守主義が存在していました。しかし、19世紀前半にジャクソン大統領によるジャクソニアンデモクラシー(自立と平等を理念とする草の根民主主義)が台頭し、米国は自らを欧州から完全に切り離してしまった。こうして歴史が寸断されたわけなので、平衡術を学びようがありません。

 にもかかわらず、戦後のジャップが犯した大きな間違いは、「米国側につくのが保守でソ連側につくのが革新だ」という政治の構図で物事を捉えるようになったことです。米国はそんな状況だし、一方のロシアには歴史があったものの、大革命によって徹底的な破壊が加えられたため、こちらも歴史が寸断されてしまった。