「おトキちゃん、乗って」ピンチを救う人力車の王子様!銀二郎(寛一郎)の“おサボりランデブー”、なのにトキ(高石あかり)の表情は…〈寛一郎コメント付き・ばけばけ第19回〉『ばけばけ』第19回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第19回(2025年10月23日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

錦織の試験の日が来た

「東京はやり直せる場所だ」

 前回、朝ごはん食べていたと思ったら、もう夜。トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)が外へ出ると錦織(吉沢亮)が佇んでいた。虫の声がする。
トキ「眠れなくて」
錦織「私も」

 トキは銀二郎(寛一郎)とのことを。錦織は明日の試験のことを考えているのだろう。
 銀二郎に「でももうずっといっしょだと思います」と言われてうれしいはずだが、「迷ってるのか。少しだけだが銀二郎から聞いている」と錦織は相変わらず察しがいい。
「あいつはいい男だ」と銀二郎をおすすめしたうえで「東京はやり直せる場所だ」「君はやり直したくないか」とトキの背中を押すようなことを言う。
 先進的な考えをしている錦織的には、トキには貧しい実家から離れて銀二郎とやり直したほうがいいと思っているのだろう。

 翌朝、試験の当日。銀二郎も、根岸(北野秀気)と若宮(田中亨)も湯島天満宮のお守りを錦織に渡す。
「かぶってすんません」と焦る3人に、「イッツ・ア・サプライズ」と錦織は寛容だ。
 お守り2個になって効き目も倍に?

 とそこへ、庄田多吉(濱正悟)がやって来る。彼も試験を受けに東京に来ていて、錦織ほどではないが「こちらも秀才」。
「大盤石」こと錦織の半分にも及ばないので「半分弱(はんぶんじゃく)とでも呼んでください」とふざける。
「はんぶんじゃく」と聞いて「范文雀」を思い浮かべた人はどれくらいいるだろう。

 いいところに来た庄田。ちょうどお守りがふたつあったから、ひとつもらえた。

 今度はトキが錦織に「よろしければお昼に」とお弁当を手渡す。それを見て、銀二郎は何? という顔になる。素直な人だ。