日本人は「会社が大嫌い」で「会社のことを信用していない」『幸福の「資本」論』
橘玲著
ダイヤモンド社 定価1500円(税別)

 ブラック企業が蔓延するいまの日本であれば、この結果もさほど意外ではないと受け止められるかもしれません。しかしこの調査は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた1980年代後半から1990年代はじめにかけて、「日本がもっとも輝いていた時代」に行なわれたのです。

「日本人の仕事への期待度が高いからだ」との反論があるかもしれませんが、それを考慮しても日米の仕事への満足度のちがいはあまりにも顕著です。またここではデータを示しませんが、日本のサラリーマンがアメリカの労働者よりも会社に貢献する気がなく、会社への愛着も感じていないという結果も出ています。

 小池氏はその理由を、日本の会社ではアメリカよりもきびしい社内競争が行なわれているからだと説明します。地位や職階で業務の分担が明確に決まっているアメリカ型の人事制度に対して、上司や部下、同僚たちの評判を獲得しなければ出世できない日本型の人事制度ははるかにストレスフルで、曖昧な基準に対する不満も多く、逆にその過酷な出世ゲームが日本企業の競争力の源泉になっているというのです。

 しかしこの「競争」はネズミ講と同じですから、右肩上がりの成長でポストが増えていかなければ成立しません。低成長の現在では、椅子取りゲームの椅子が減っていくなかでみんなが会社にしがみつこうとするため、状況ははるかに悪化します。

 2000年代になって、日本のサラリーマンがさらに会社を嫌いになっていることは間違いありません。