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セールスフォースが年商100憶ドル達成を
まだ“第2章”と言う理由

――キース・ブロック セールスフォース・ドットコムCOOに聞く

ダイヤモンドIT&ビジネス
【第72回】 2017年10月19日
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過去に作り込んだシステムの維持が
デジタル変革への投資を阻んでいる

――セールスフォースが成長していくためには、顧客企業もデジタル変革に成功し、成長していく必要があると思います。ですがすべて期の企業がデジタル変革に成功しているわけではありません。企業の変革を阻むものは何でしょうか。

 伝統的な大企業が、デジタル変革へすぐに向かうことが難しいという問題は、日本企業だけに限ったことではありません。

 これはあくまで私個人の考えですが、日本企業についてとくに言えることは、多くの企業に高い技術力があり、そして常に完全を求めることが重要だという文化のようなものの存在です。その結果、それぞれの分野で世界でもベストの製品やサービスを提供してきました。ITの分野でも、日本のベンダーの設計や実装力は非常に高い水準であることは間違いありません。

 しかし、いったん技術が高度になってしまうと、それを別の新しい技術に置き換えることがどうしても難しくなります。その高い技術を維持するために、大きな投資と独自の業務プロセスを守ってきたためです。つまり新しい技術や考え方に企業の資源を割くのが難しい状況に陥ります。これまで強みだったものが、アキレス腱になりかねないのです。

 ですが、必要に迫られれば企業は変わることができます。

――どんな企業が成功しているのでしょうか?

 例として、金融業界のことをお話ししたいと思います。 とりわけ大手銀行では、IT投資の約90%が、現在稼働しているシステムの維持管理や、関係当局へのレポートのために充てられると言われています。これではイノベーションへの思い切った投資は無理です。ですが金融業界は、フィンテック・ベンチャーが次々と生まれ、デジタル技術を使った変革の大きな波が真っ先に押し寄せている分野です。

 そこで、危機感を強めた一部の金融機関では、この状況を打ち破る大胆な変革への動きが始まっています。外圧が100年以上の歴史ある業界を変えようとしているのです。

 先頭をいく銀行の1つが、シティバンクのリテール部門です。CEOのステファン・バード氏は非常に革新的なリーダーシップを発揮しています。自ら「チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー」と名乗り、全ての銀行内の業務を、口座を持っている顧客起点で再設計することを明言しています。彼はそのために、業務改革専門の部署をIT部門とは全く別に作り、そこに新しいテクノロジー人材を採用し、ゼロベースで業務プロセスとシステムを作ろうとしています。こうした経営トップ主導による動きは、米国のモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、ウェルス・ファーゴをはじめ、ドイチェ銀行など欧米にも広がっています。

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