夫はいつからか自分の部屋で一人で寝るようになり、依頼者は隣で寝る子どもの寝息を聞きながら、理由もなく涙が出るようになった(写真はイメージです) Photo:PIXTA
筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」として活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。探偵歴十数年。これまで数えきれないほどの相談を受けてきましたが、その多くは「人に言えない苦しみ」を抱えた相談者でした。今回ご紹介するのは、夫の不貞に気づきながらも、母親として、一人の女性として戦い抜いた不貞の被害者の物語です。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳/登場人物はすべて仮名)
不貞調査の依頼者
自分を考え過ぎと疑う
依頼者の久村瑠花さん(くむら・るか、30歳)が相談に来られたとき、彼女はほとんど感情を表に出しませんでした。
まだ幼い2人の子どもを育てながら共働きをしていた夫の久村一睦さん(くむら・かずちか、33歳)の不貞調査の相談に至った経緯を話してくれました。
オオカミ少年・片岡正徳
一睦さんは、「仕事が忙しい」「今日は実家に泊まる」、そんな理由を口にすることが増えていき、家にいる時間はどんどん短くなっていきました。
「今までの夫から考えたら、この行動は絶対におかしいと思いました。決定的な証拠はありませんが、違和感だけがたまっていきました。疑う自分が嫌だったんです。信じたい気持ちも、まだあって」
不貞調査を依頼するという行為は、ほとんどのケースで裏切りを前提にすることでもあります。だからこそ、多くの依頼者が考えすぎなのかと足を止めます。瑠花さんも、何度も迷ったそうです。







