『マッキンゼーが予測する未来』
リチャード・ドッブスほか著
吉良直人訳
(ダイヤモンド社 1800円)

──ドッブスさんは、インドや韓国などにも駐在経験があります。日本は、東アジアの中で相対的な地位が落ちていると感じませんか。

 実は、私が1988年にマッキンゼーに入社して最初に取り組んだ仕事は、日本のある金融機関の英国における戦略をアドバイスすることでした。

 それ以来、ずっと考え続けています。振り返れば、日本の産業界のピークは88~99年でしたね。金融、家電、自動車などは世界の市場を席巻しました。その後、グローバル展開では、韓国や台湾、そして米国の巻き返しで、日本は後れを取りました。ここで重要なのは、米国が復活したことです。

──なぜ、米国が復活したことが、日本にとって重要なのですか。

 これまで誰が、いったんは退場したに等しかった家電で、アップルなどの隆盛によって米国企業が盛り返すと考えたでしょうか。同じく、凋落が続いた自動車では、いま世界で最も革新的なメーカーは電気自動車の米テスラです。

 日本の経営者には、米国のビジネススクールで勉強した方も多いですが、25年以上も前の知識に頼らず、いまならシリコンバレーに1週間滞在するなどして“視野を広げる”べきです。さらに、“自社内での競合を恐れず、新しいサービスを始める”ことです。

 日本は米国の復活に学ぶことができる。直観力をリセットすれば、再びグローバル市場に出ていけるはずです。

リチャード・ドッブス(Richard Dobbs)/1966年、英ロンドン生まれ。オックスフォード大学で工学と経済学を専攻した後、88年に米マッキンゼー&カンパニーの英国オフィスに入社。米スタンフォード大学ビジネススクールに留学後、EU諸国からインド、東アジアまでの国・地域において、さまざまな分野のコンサルティングを手掛ける。2009~16年、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのディレクターを兼務した。https://www.mckinsey.com/mgi