─それは食の嗜好が変わったというのではなく、意思でやめた?

 そうです。健康のためにやめました。鮨さえなければ(笑)、菜食でもいいぐらい。もう3年間肉食はやめています。あとは午前中は食事をしない。

 基本的に一日二食で昼食と夕食のみ。午前中はフルーツとジュースだけで主食は昼。昼にしっかり食べると、夜はそんなに食べられないから前菜程度。

 ま、ただ付き合いもあって、誰かとレストランに行って前菜だけというわけにもいかないから、どうしても多くなりがちです。あとは、お酒も、療養後一年ぐらいは飲めなくて、そのままやめたほうがいいんでしょうけど、これも鮨と同じ(笑)。

 どうしても我慢できなくて、最初はちょっとだけ舐めるように始めて(笑)、いまやワインをグラスで二杯ぐらい飲むようになっちゃいましたね。

 15年ぐらい前に禁煙したし、歳を取るとどうしてもやめなきゃいけないことが増えてくる。その中でお酒だけはやめられない。一年間禁酒したことで、むしろお酒のおいしさを再確認してしまった(笑)。

─量を減らしたぶん、おいしいお酒を厳選するようになった?

 それは食事もそうなんです。一食をとても大事に感じるようになりました。食事~口にするものとは、つまりは身体を作るもので、本当に大事なんですよ。

 この年になると、もうまずいものを食べる余裕がない。病気とは関係なしに、年齢を重ねると自分のために身体によいおいしいものを食べることが大切だということがわかってくる。

 このおいしいものというのは美食や贅沢とはちがって、ちゃんとした材料でちゃんと作られたもの。まずいものというのは、結局はちゃんとしたものでちゃんと作られてないものだと思うんです。

─最後に食べたまずいものは?

 アメリカにいるとまずいものが多いんですよ。まずいどころか味がないものもある。いま住んでいるニューヨークとちがい、ちょっと田舎のほうに行くと味のない食べ物を出す店が増えてくる。

 味がないというのは、ケチャップやソースや塩をかけることが前提となっているから。料理の味はすなわちケチャップやソース、塩の味なんですね。

 それは料理とは言えないと思うんだけど、平気で食べている人がけっこういる。ぼくもずいぶん前に、みかけはパスタなんだけど、まったく味がないというものを食べてしまって非常に後悔しました。

─逆に最近おいしかったものはなんでしょう?

 基本的に、毎日おいしいものばかり食べています。たとえば自宅でパートナーが作ってくれる一日のメインであるお昼。これを毎日、手を変え品を替えていろいろ作ってくれるのですが、どれも本当においしい。こんなにおいしいんだからお店を出したら? とよく言うぐらい。本当にありがたいことです。