がんの治療を受けている人は全国で152万人と言われている。医療制度改革によって通院での治療も増える中、がん保険の見直しは必要なのだろうか。

支払い日数制限なし 長期療養に威力を発揮

医療制度の変化によってがん保険も新商品が続々と発売されている
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 医療保険がほとんどの病気やケガをカバーするのに対して、がん保険は悪性新生物(がん)の入院や手術をピンポイントで保障する商品だ。入院給付金の支払い日数に制限がなく、がんと診断されると100万円などまとまったお金が支払われるのが一般的だ。

 がんは、いったん治っても再発や転移をする可能性のある病気だ。がんの治療も高額療養費の払い戻しは受けられるが、療養期間が長引くと医療費もかさみ負担は重くなる

 「医療保険と同様、貯蓄のある人はがん保険も必要ありません。でも、貯蓄が心細くて、がんで長期療養したときの医療費が心配という人は加入してもいいでしょう」(生活設計塾クルーの内藤眞弓さん)

 がん保険はまとまった診断給付金がもらえるので、医療費だけではなく、抗がん剤治療で脱毛した場合のかつらの購入費用、生活費など自由に使えるのが最大のメリットだろう。

医療制度の変化によってがん保険も新商品が続々

 一昔前まで入院が長期化するのが一般的だったがんの治療も、最近は通院や在宅で行なうケースが増えている。背景には医療技術の進歩とともに、国の厳しい財政事情もある。

 「医療費削減の一環として、国は入院日数の短縮化を政策目標に掲げています。入院が長引くほど病院は赤字になるので、長期入院はできず、通院や在宅で治療するケースが増えています」(内藤さん)

 がんは治療が終わっても再発の可能性があるため職場復帰が難しい場合もある。病気で働けない間は健康保険から最長1年半の傷病手当金がもらえるが、住宅ローンや教育費の支払いがあると生活費も心配だ。