キャンピングカーブームで
軽トラが人気を誇るのはなぜか
いま、キャンピングカーがブームになっている。日本RV協会が発行する「キャンピングカー白書」によると、現在、国内のキャンピングカー総保有台数は約9万5100台。主なユーザーは、子育てが一段落した50~60代のシニア層である。
中でも、爆発的に売れている車種がある。それは、軽トラックを利用したキャンピングカーだ。軽トラを改造し、居住空間を作ってキャンピングカーに仕立てたものである。
大阪・富田林市の安田さん夫妻は、夫の定年退職を機に軽トラキャンピングカーを購入。若いころに行った思い出の場所や、西国三十三ヵ所めぐりを楽しみにしている。夫婦で楽しむきっかけになればと、退職金などを利用して購入した。
軽トラを使うメリットは大きい。まずは費用が安いこと。通常のキャンピングカーは、安いもので450万円、平均700万円が相場だが、軽トラなら新車でも70~100万円。中古になると10万円前後からある。それを自分で改造すれば、格安でキャンピングカーを持つことができる。
軽自動車なので当然燃費は良く、自動車税も安い。小回りがきくので、大型のキャンピングカーでは行けない山道や荒れ地でも運転が可能だ。ここ数年、軽トラの性能は格段に向上しており、AT車でも相当な馬力が出るようになっている。
そんなブームを受けて今年3月、日本初の軽トラキャンピングシェル(シェルとは居住スペースのこと)専門店も登場している。神戸市にある「トラベルハウス」へ取材に出かけた。
さっそく軽トラキャンピングカーの現物を見せてもらった。ごく普通の軽トラに、シェルを乗せて固定するスタイルだ。驚いたのは内部の広さ。高さは1m73cmあり、車内で立つことができる。奥行2m98cm、幅1m25cm。軽トラとは思えないほど広々としている。
4人まで寝ることができるので、家族のキャンプにも活用できる。電気のコンセントは3つあり、100ボルトが使用できる。照明はもちろん、電子レンジやドライヤーも使える。外部にもコンセントがついており、野外の照明もバッチリだ。オプションでシェルに専用タンクを付ければ、40Lの水を運ぶことも可能。運転席との間にガラス窓を付けることもでき、窓を開ければ車のエアコンを利用できる。