職場が「人間関係の戦場」となってしまう3つの理由、自衛隊メンタル教官が教える写真はイメージです

 部長がパワハラした。部下が言うことを聞かない。働かない先輩がいる。同僚の一言にカチンときた、などなど。職場の人間関係は、なぜ、もめごとや悩みが絶えないのだろうか。

「組織とは“役割の戦場”なんです」と話すのは、自衛隊でメンタル教官をつとめ、『人間関係の疲れをとる技術』(朝日新書)の著者でもある下園壮太さん。

 下園さんは、ある意味、日本で一番組織力を問われる場で、隊員同士のトラブルや心の不調をサポートしてきた。長年の経験からわかった、組織が“戦場”になってしまうメカニズムと、生き抜くためのコツを教えてもらった。

職場が「人間関係の戦場」となってしまう3つの理由

 誰もが人間関係が良好で、居心地のよい職場を求めていることでしょう。でも、それはあくまでも理想。私が考えるに、組織とは「役割の戦場」、職場の本当のところは「人間関係の戦場」です。

 その理由を、3つの視点からお話しします。

 1つ目が、「エネルギー」の視点。

 職場では、組織の目的を達成するために、それぞれのメンバーが活動します。活動をするとは、「エネルギーを使う」ということ。

 原始的な観点に立って考えると、人にとって、エネルギーを使い切ることは「死」を意味します。だから、その消費に関しては、とてもシビアになります。

 特にグループで活動する場合は、自分のエネルギーを出すだけの十分な「意味」と、十分な「報酬」を求めたくなる。だから、まず職場では、エネルギーを提供する側(部下)と、報酬を提供する側(上司)の、暗黙の戦いが生じやすい。