
「グローバル競争の激化」だけの説明では不十分
日本のものづくり企業の信用を揺るがす不祥事が続発しています。今回は、その原因がどこにあるのかを考えてみたいと思います。

小宮コンサルタンツ代表
これは、大企業だけに起こる問題ではなく、中堅・中小企業などどの会社でも起こることだと私は考えています。
今回の一連の不祥事に関して、一部の方たちは、「グローバル競争の激化」を原因に挙げています。競争激化により、収益環境が厳しくなり、正社員を非正規の社員に代えるなどすることでコスト削減を行い、それによって、品質や管理の低下が起こるというものです。
もちろん、そのこともあるでしょうが、グローバル競争の激化は、不正を起こした企業にだけあることではなく、また、日本企業にだけ起こっていることではありません。世界中の多くの企業が直面していることです。
そのことだけでは十分な説明ができません。私は、後に説明する、経営者が「目的」と「目標」の違いを理解していない、もっと言えば、それも含めた「経営哲学」を十分に醸成できていない経営者の増加だと考えています。そのことを話す前に、簡単に今回の一連の事件を振り返ってみましょう。