新しい「Sake」が
世界を席巻する日も近い!?

スペインで「絹の雫」を造るアントニオ・カンピンスさん。日本酒に関する著書もある

 今回の流れは、それとはまた違う。新しい造り手たちは、日本酒を「飲みたい」「知りたい」「学びたい」から、「造りたい」と思い、その思いを実現させている。そして、「世界の日本酒市場には大きな可能性がある」という見解も一致していた。

 スペイン・バルセロナの大学で日本酒の講座を持ち、地元で日本酒「絹の雫」を造り始めたるアントニオ・カンピンスさんは、「スペインでは10年後、日本酒の消費が100倍になるはずだ」と期待する。

 彼が造るにごり酒には「トリュフを添えたクリーミーなスクランブルエッグが合う」し、純米酒には「地元の豆と肉のシチュー」がぴったりだと話す。

 日本酒に惚れ込んだフランス人オーナーが日本から杜氏を招いて今年から生産を開始する「Les Larmes du Levant」でも、「華やかな香りを持つ日本酒は、食事の邪魔になる。味と輪郭がはっきりしたクラシックな日本酒のスタイルのほうが、フランスでは受ける」という考えから「フランス人の味覚に合う麹を選択したい」という。 

ヨーロッパ初の酒蔵ノルウェー「裸島」のブロック・ベネットさん(左)

 日本では新しい世代の作り手が新しいスタイルの日本酒を提案し、新世代のファンを取り込んでいる。でも、海外の新しい造り手が造りたいのは、彼らの土地の風土や料理にあう日本酒、まさに「地酒」なのだ。

 ワインはもう、和食や中華などどんな業態でも置かれるようになっているが、日本酒を国酒とするこの日本ですら、日本酒を出すフレンチやイタリアンを見つけるのは難しい。

 それなのに彼らは、地元のレストランからまず、日本酒を広げようとしているのだ。

 日本人は昔から、海外の文化を独自に改良しながら、世界をあっと言わせるようなものを造り上げてきた。カレーやラーメンはもはや日本オリジナルだし、「ジャパニーズウイスキー」はその好例だろう。

 これから日本人が知らない、新しい「sake」が世界を席巻する日が来るのかもしれない。