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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

イノベーションに必要な
経営者の人間力

大西 俊介
【第3回】 2017年11月10日
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異なる考えに対する受容力と咀嚼力

 一方で、異なる意見をきくということも大事です。生まれ育った国や環境、これまで働いてきた会社が異なるといろいろな場面で、異なる考え、意見を聞きます。新しい事業を立ち上げるにあたってのアプローチや優先順位、顧客に案件を提案するに当たり、そもそも提案すべきかそうでないか、価格設定はどうかとか、日本人でもいろいろ硬軟意見分かれることですが、多国籍なメンバーでの議論になると更に意見は分散します。多様性の価値を発揮するために、経営者はまずは聞く、というところから入るべきと思います。

 欧米の会社はある程度ダイバーシティ化されているのですが、日系企業はまだまだ純血な会社が多いので、勤めて耳を傾けるようにしないと異なる意見や考えは抹殺されてしまいます。経営者にとって異なる意見を発するメンバーを周囲におくことは非常に大切なことだと思います。キャリア採用がある程度進んでいる会社に時々見られるシチュエーションですが、生え抜きで固めるなどということは論外だと思います。日本人で固まることも含めて。その意味で、間口の広い受け入れる力、受容する力をまず身につけることが重要です。

 その上でどう咀嚼するかということがポイントになってきますが、これはどれだけ多様な環境を本人が経験したか、ということによって差が出てくると思います。同質的な組織の中で育ってきた経営者は、聞く耳は持っていても、切り替えしが的外れだなと感じることがあります。さらに高学歴であるほど、自分のロジックで考えようとするので、この傾向が強いのかもしれません。

 文化や国の違ういろいろな会社を経験するのがいいと思いますが、日系企業でもこうしたほうがいいなと思うことは、30代のうちに、日本人が人数的にマイノリティである現地法人などを数年経験させたほうがいいと思います。日本人がマジョリティな環境では、日本人同士に閉じた同質的名価値観の共有しかできないし、それは世界標準でみると「ガラパゴス」であることが多いからです。

 日本以外の国籍の人間が圧倒的多数の中で生き残っていくすべを学んでいくことは咀嚼力は磨く1つの処方箋だと思います。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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