強引なビジネスマンが多く、超肉食系という印象のある中国人ビジネスパーソン。しかし、筆者が中国で実施した人材開発プログラムの経験によると、意外にも草食度が高い。(モチベーションファクター株式会社代表取締役 山口 博)
中国人ビジネスパーソンの
モチベーションファクターは?
筆者は日本各地に加えて、中国でも人材開発プログラムを実施している。参加したビジネスパーソンに「パフォーマンスを上げるために必要な要素は何か」ということを聞くと、さまざまな答えが返ってくるが、日本でも中国でも必ず挙げられるものに「モチベーションの高さ」がある。
「課題に正面から取り組むためには高いモチベーションが必要だ」「不祥事を放置せずアクションしていくためのモチベーションが業績伸展を実現する」…こうした意見が出る。読者のみなさんも同意するに違いない内容だ。
こうしたプログラムを実施する中で、人にはそれぞれ、モチベーションを高めるために必要な要素があることがわかってきた。私はそれを「モチベーションファクター」と名付け、次の6つファクター、2つの型に分類している(下の図参照)。
目標達成、自律裁量、地位権限というファクターにモチベーションが上がりやすい人は牽引型だ。他者協調、安定保障、公私調和にモチベーションが上がりやすい人は調和型だ。牽引型の人はいわば肉食度が高いと言えるし、調和型の人は草食度が高いと言える(詳しくは本連載過去記事『同僚の「肉食度・草食度」を見極めてマネジメントに活かせ』を参照)。
日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターの分布は、肉食度51.4%に対し、草食度48.6%と、ほぼ拮抗している(各業界のプログラム参加者1114人の演習結果による)。その後、筆者は中国で人材開発プログラムを実施するようになり、中国のビジネスパーソンの肉食度の高さを、肌感覚で実感していた。
演習に果敢にチャレンジして競うように挙手する、自分ならではのやり方を遠慮なく実施する、モデル話法を他者に先駆けて披露しようとする…いずれも、目標達成、自律裁量、地位権限のモチベーションファクターの表れだ。
約束が反故にされるかもしれない、人を押しのけ爆買いする、電車に乗りながらスマホに大声を上げる…そんな中国人のイメージからも、肉食度の高さを想定する人は多いに違いない。私は肉食度90%、草食度10%くらいではないかと想定していた。しかしその想定は、大きく外れた。