外食チェーンはあの手この手で“胃袋”を奪い合っている。せっかく店でおなかを満たすなら、料理と共にそのビジネスモデルまで味わい尽くしたくはないか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、本誌と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第1回は名古屋発祥、カフェ・喫茶業態3番手に躍り出たコメダ珈琲店を展開するコメダホールディングスの臼井興胤社長に聞く。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝、臼井真粧美)

コメダがFC店の「裏メニュー」を完全排除しない理由うすい・おきたね/1958年生まれ。一橋大学卒業。旧三和銀行、日本マクドナルドCOO、セガ社長などを経て2013年コメダ社長。 Photo by Kazutoshi Sumitomo

――かつて日本マクドナルドでCOO(最高執行責任者)を務めていました。マクドナルドの常識とコメダの常識は違いますか。

 マクドナルドが生まれた米国は英語を話さない米国人もたくさんいる中で、彼らが働くために精緻な仕組みを作り上げ、大量消費に応えるオペレーションで規格製品を提供しています。これがマクドナルドのすごいところ。マクドナルドが大好きだから週に1回は食べに行きます。でも、コメダの提供価値はまた違うものです。

 コメダに入社したばかりでフランチャイズ(FC)の方々に顔が知られてなかった頃、あるコメダの店で「お昼を食べさせて」とお願いしたら、その場にいたコメダの人が「時間がかかるから」と止めとようとした。「いやいや時間はあるから」とそのまま頼んだら、出てきたのがアジの開き定食(笑)。裏メニューがあったんですよ。食後には「今朝ね、地元のお客さんからもらったあんこ餅食べて」って。

――正式なメニューからは程遠い。それって公式的にはNGですよね?

 NGです。時間があるときに私、裏メニューを食べに行きますけどね。とてつもなく美味しいのに出合うことがある。