外食チェーンはあの手この手で“胃袋”を奪い合っている。せっかく店でおなかを満たすなら、料理と共にそのビジネスモデルまで味わい尽くしたくはないか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、本誌と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第2回は名古屋生まれで急成長中のステーキ・ハンバーグ店ブロンコビリーの竹市克弘社長に聞く。(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――名古屋は外食の進出が難しいエリアとよく言われます。名古屋発祥チェーンにとっても難しい?

ブロンコビリーがサラダバーに「すごい原価」を掛ける理由たけいち・かつひろ/1975年生まれ。米デンバー大学卒業。2003年ブロンコビリー入社。13年より現職。父は創業者で現会長。 Photo by Kazutoshi Sumitomo

 クルマ文化なのでお客様は電車利用に比べてより広範囲に店を選びます。故に期待を裏切ると来なくなる。排他的と言われやすいですが、信頼関係ができると長く使っていただける。信頼関係を築くまでが非常に厳しいんです。

 大阪の方は値切り倒すのが上手い。名古屋の人は一歩手前で止めて「あと何を付けてくれるの?」とくる。お客様が一番得するように提案できているところ、お支払いいただく対価に合うと訴求できているところがこの地で生き残ります。同じ名古屋発祥のコメダ珈琲店なんかもそうでしょう?

 外食店の情報がインターネットを通じて得られやすくなり、個人店にも行こうという流れができています。この環境は、名古屋のそうした文化とマッチングしているんじゃないかと思います。

――ブロンコビリーがベンチマークあるいは意識するのはどこですか。

 セブン‐イレブン。セブン‐イレブンがやれることはやりません。同じ土俵に乗ったら勝てませんから。

 たとえばコンビニエンスストアのデザートは、品質がものすごく上がっています。うちがケーキなりにアイスクリームを載せフランベするといった手の込んだことができるわけではないし、本格的なデザートバイキングのように選び切れない種類を並べられるわけではない。そこを中途半端にやったところで、結局コスパで勝てない。だから対峙はしません。