ソフトバンクグループ傘下の米通信大手スプリントと、米通信大手TモバイルUSとの経営統合が再び破談になった。孫正義社長が会見で語った交渉停止の経緯とは──。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
「米国は世界最大の市場で、通信インフラを手放すわけにはいかない」
11月6日、東京都内で開催されたソフトバンクグループの決算説明会。普段は笑顔を絶やさず好業績や投資案件の魅力をアピールするはずの孫正義社長の表情はこわばり、声のトーンも沈んでいた。
この日の会見の冒頭、孫社長は約20分にわたって、グループ傘下の米通信大手スプリントと、米通信大手TモバイルUSとの統合交渉中止について説明した。
スプリントとTモバイル。この組み合わせは、2013年に約2兆円を掛けてスプリントを買収した当初から描いていた構想だった。
米国通信市場は、ベライゾンとAT&Tがシェアの約7割を占める2強の地位を固め、残りをスプリントとTモバイルで分け合う2強2弱体制。下位2社を束ね「強いナンバー3」をつくることができれば2強に対抗できるからだ。