あらゆる場面で答えを生むのに役に立つ
この本の大きな目的は、人生に変化をもたらす新しく有用なアイデアをつくりだすために、第7感を開発する方法を示すことだ。ご想像の通り、それは第6感(直感)を開発する方法とは大きく異なる。
第6感を磨くには、ある活動を選び、上達を目指して訓練を繰り返すことが求められる。何度も繰り返すことで、その活動についての第6感は研ぎ澄まされていく。
しかし、第6感は汎用的なものではない。たとえば、ギターの演奏に熟達することで得られた第6感は、フランス語の学習には直接的には役立ない。第6感は、特定の活動についてのみ向上していくものなのだ。何か一つの活動について第6感を得ることができたからといって、それをあらゆる活動に使えるわけではない。
一方、第7感は汎用的な思考のスキルだ。あらゆる種類の新たなアイデアを生みだす能力を、向上させることができる。ひらめきが起こりやすいような脳の状態をつくるための方法や、ひらめきが起こった後にそれを効果的に活用する方法は、学習できるのだ。
ただし、ひらめきの内容そのものは予測できない。なぜなら、それはこれまで存在しなかった新しいアイデアだからだ。同じく、ひらめきがいつ訪れるかも予測はできない。
また、ひらめきは一つひとつすべて違っている。第6感が同じことをさらにうまく行うのに役立つのに対して、新しいアイデアを得るのに役立つのが第7感だ。第6感を使って新たなアイデアを得ようとするのは、馬に空を飛ばさせるようなものだ。第6感にはさまざまな素晴らしい力がある。しかし、この能力では新しいアイデアをひらめくことはできないのだ。
本書『超、思考法』の構成は以下の通りだ。
前半では、第7感の仕組みを説明する。科学的な分析に基づき、脳の他の能力との違いを明らかにし、第7感を構成する4つのステップを詳しく見ていく。
後半は実践編だ。
自分のなかの第7感を発見し、それを開発し、新しいアイデアを日常生活で活用していくためのツールと訓練方法を紹介する。
また、第7感を通じてアイデアを得た、偉大な革新者や指導者の例も紹介する。具体例を見ることで、あなたは自分のなかの第7感を見つけやすくなるはずだ。
嗅覚、味覚、触覚、視覚、聴覚の「五感」は、誰にでもある共通の感覚に基づいて、当たり前の知見を生みだす。直感と呼ばれる「第6感」からは、個人的な経験に基づいた優れた知見が得られる。
だが第7感からは、それまで気づかなかった、あるいは誰も思いつかなかったような新しいアイデアが得られる。それは、「新しい何か」と「それを実践する方法」だ。それは、あなたを新しい自分に生まれ変わらせることも可能にする。
私はこの本が、私たちにとってもっとも重要な「私が人生ですべき、本当に大切なことは何か?」という問いへの答えを見つけるのに役立つことを願っている。
あらためてこの問いに向き合ったとき、「まったくわからない」と思ってしまう人も多いのではないだろうか。
そんなときにこそ、第7感が必要だ。
第7感は私たちに、人生にとって本当に大切なことは何かを教えてくれるのだ。
(本原稿はウィリアム・ダガン著『天才の閃きを科学的に起こす 超、思考法』から抜粋して掲載しています)