朝倉:じゃあVCにとってエンジェルは単に面倒くさい人たちなのかって言うとそうでもない。逆に起業家があまりにも理不尽な行動を取り出したときにはびしっと言うこともできるし、事業を伸ばしていく上では心強いサポーターでもある。

 本来、スタートアップと投資家の目線というのは大きく会社を育てていくという点では一致しているわけで、良いエンジェルはそのための調停役になり得るんちゃうかな~と思ってます。

村上:そう思いますよ。エンジェルでも特にちゃんとした方々は、このステージのブリッジを埋める役割を担い得ますね。

空白の中継ぎピッチャー

朝倉:お金だけではあまり意味がありません。事業経験があって、ちゃんとアドバイスができないと。そういうエンジェルの方も最近ではどんどん増えているんじゃないでしょうか。

村上:エンジェルの役割って、ゼロから会社を始めた人がVCと相対する時のギャップを少しずつ埋めてくれるものだと思います。そこでバリュー出してる人は増えてるんでしょうね。
 でも、前回に話したような上場後のクリフを埋めてくれる人はなかなかいない。非上場の時のギャップよりも遥かに大きいギャップなんだけど、それを先回りして大変なことが待ってるってことを言える人って本当に少ない。

朝倉:上場請負人みたいな方がそういった役割を担っていることもあるけれど、非常に貴重な存在ですよね。

村上:どうしてそういうことが言えないかというと、上場すること自体が非常に大変だから、上場した後のことを考える余裕がないから、というのもあると思います。あとは、上場によるフェーズ変化が大きいがゆえに、その変化を経験上しっかり理解して伝えられる人がいない。

朝倉:投資家の中には、先発ピッチャーであるVCからの後を引き継ぐ中継ぎピッチャーがいないんでしょうね。先発が頑張って試合の中盤までリードして上場した。7回や8回を乗り切れば、9回は機関投資家に任せられるけど、その中継ぎピッチャーがいないということなのかな。

朝倉祐介  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。


村上 誠典  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県姫路市出身。東京大学にて小型衛星開発、衛星の自律制御・軌道工学に関わる。同大学院に進学後、宇宙科学研究所(現JAXA)にて「はやぶさ」「イカロス」等の基礎研究を担当。ゴールドマン・サックスに入社後、同東京・ロンドンの投資銀行部門にて14年間に渡り日欧米・新興国等の多様なステージ・文化の企業に関わる。IT・通信・インターネット・メディアや民生・総合電機を中心に幅広い業界の投資案件、M&A、資金調達業務に従事。


小林 賢治  シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県加古川市出身。東京大学大学院人文社会系研究科美学藝術学にて「西洋音楽における演奏」を研究。在学中にオーケストラを創設し、自らもフルート奏者として活動。卒業後、株式会社コーポレイトディレクションに入社し経営コンサルティングに従事。その後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、取締役・執行役員としてソーシャルゲーム事業、海外展開、人事、経営企画・IRなど、事業部門からコーポレートまで幅広い領域を統括する。

*次回【ポストIPについて Vol.9】上場をテコに大勝負を仕掛けて成功する会社の条件 に続きます。
*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年9月21日に掲載された内容です。