まず、「これら6社による見積額が絵に描いたような談合リベートを物語っている」こと、次に「談合リベート案件の必然として、T設計事務所の設計概算金額自体が一戸あたり約200万円という、びっくりするほど高額である」こと、そして「大規模修繕工事は特別な問題のない限り、12年ごとである必要はない」こと――等をお伝えした。

 すると、Aさんは心底驚いて、一度可決された大規模修繕工事の議案を白紙撤回するための臨時総会を開き、撤回案を可決させて、なんとか契約一歩手前で差し止めることができた。

大量コピーされて出回っている談合リベート
見破ることができても、白紙撤回、契約解除が厄介

 もう一つの最近の実例は、約100世帯、築38年のマンションだ。

 1回目の大規模修繕が8000万円、2回目が1億円、そして今回は1億5000万円になってしまうのだが、「仕方がないのだろうか?」という、このマンションの管理組合理事長Sさんからの相談だった。

 見積もりを見せていただくと、前の例とは別の設計事務所であるにもかかわらず、細かい数字が違うだけの、それをコピーしたかのような内容に思わず苦笑してしまった。Sさんが怪訝な顔をなさったので、前の例のコピーをお見せした。察しのいいSさんは「これは談合されたケースのものでしょうか?」と言われ、私が「その通りです」と言うと「それじゃあ,うちのも100%黒ですね」と正解された。

 ちなみにSさんが持ってきたメモはこうである。

 100万円未満を丸めた数字だが、設計概算金額1億6000万円に対して、最安値約1億5000万円で、他は1億6000万円、1億6100万円、1億6200万円、1億6300万円――。

 コピーを並べて見て思わず二人で吹き出してしまったが、Sさんはすぐに真顔に戻って「しかし、もう設計監理契約をしてしまったのです」と言われた。

 相手はA設計コンサルタント。採算の取れないような安い設計料で受注して、リベートで儲けるという、典型的な談合リベート体質で有名な設計事務所だった。

 契約の解除は厄介だが、このマンションの管理組合員の身内に法律家がいて関与してくれたので、なんとか契約を解除し、他の設計コンサルタントを厳選して、当初予算よりはるかに安い金額で実施できることになった。