車内で化粧を認めないのは女性差別?

 2016年、ある鉄道会社の広告が物議を醸した。東急電鉄によるマナー向上キャンペーン「わたしの東急線通学日記」である。上京した女性の視点から、都心における公共の場でのマナーについて考える内容で、問題の広告では女性が電車内を眺めながら「都会の女はみんなキレイだ」と感じるものの、車内で平然と化粧する女性たちを見て、「みっともない」と呟くというもの。ネットメディア「ねとらぼ」の記事(2016年10月26日付)によると、この広告に批判が集中しているというのである。

 同記事では、「『(家で化粧してこない女は)みっともない』ですか? とんでもない性差別ですね」「“みっともない”を禁止の理由にすべきではない」といった声を紹介。一方、踏み込んだ表現で「マナー違反」に切り込んだ東急電鉄に賛同する声もあると紹介している。こうしたマナーの問題は、賛否両論を巻き起こしやすいのだ。

 前述の通り、「化粧をして仕事をする」ことをマナーととらえる人がいる以上、朝の慌ただしい時間は女性にとって戦いだ。家でメイクをする時間が取れなかった場合、就業前の電車で化粧をすることくらい目をつぶってもいいのではないか。そもそも、電車で化粧をすることが、みっともないことなのか、という疑問の声も一部にある。

「化粧は人様の前でやるべきではない」という常識

 だが一方で、「電車で化粧」をマナー違反だと感じる人が、やはり多いことはすでに述べた通りだ。ヴァル研究所の調査結果によると、マナー違反だと感じる人の割合は、10代で81.82%だが、70代以上になると100%になる。しかし、割合は年代が上がるたびに高まる傾向にあるものの、30代では89.60%と若干だが数値が下がる。プライベートや仕事が忙しくなる30代には、容認派が多いということだろうか。

 いずれにしても、「電車で化粧」の問題については、年代ごとに多少の温度差はあるが、世間の大部分の人が「マナー違反である」と、とらえていることがわかる。

 ある40代の男性は、こう話す。