『すべての疲労は脳が原因』(集英社)他、疲労の科学をわかりやすく解説する著書が好評な梶本修身氏

 この調査では、人気のある疲労回復法が、必ずしも疲労感を改善するわけではないことが分かった。

 ただ、これらはあくまでもモニターの「疲労感が取れた」という主観であって、「疲労のメカニズム」でも述べたように、疲労感と実際の疲労は異なる。もしかしたら、われわれが日常的に行っている方法では、たとえ疲労感が一時和らいだと感じていても、体の疲労は全く取れていないのかもしれない。

 ここからは、世間でまことしやかに言われている回復法が、実際の疲労に本当に効果があるのか、科学的知見から梶本院長に解説してもらう。

カフェインの効能は覚醒作用のみで疲れは取れない

仕事の合間の一杯は、ほっと一息つくには最適だ。しかし、飲み過ぎには要注意。Photo:PIXTA

 深夜の残業など、もう一頑張りしたいとき、われわれが頼りがちなのがコーヒーをはじめとしたカフェイン飲料だ。強烈な眠気に襲われたときなど、コーヒーを飲むと頭がすっきりするし、香りによるリフレッシュ効果も感じるので、本誌の記者たちも締め切り前などに何杯も飲んでしまう。

 しかし、梶本院長は「カフェインは、一時的に疲労感をまひさせているにすぎない」と、その効果を完全否定する。

「カフェインは、交感神経を刺激し、集中力や作業効率を高める効果が実証されているが、それは覚醒作用によって疲労感がかき消されているだけ。カフェイン自体には疲労の原因物質を除去する作用はない」

 また、カフェインには覚醒作用と同時にリバウンド現象も指摘されており、効果が切れたときには、むしろ眠気や疲労感が強まる傾向があるという。

 コーヒーだけでなく、エナジードリンクや栄養ドリンク剤にもカフェインは含まれており、これらを深夜残業のお供にしているビジネスパーソンも多いと思われるが、長期にわたって飲み続けると、疲労感はまひさせることができても、疲労自体は蓄積し続けてしまうし、糖分も多いことから肥満の原因にもなってしまう。

「今日一日を何とか乗り切りたい」「明日はどうなっても構わない」というような切迫した状況でないなら、むやみにカフェイン飲料に頼ることはやめておいた方がよさそうだ。