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ついにアマゾンが電子書籍読み放題サービス開始!?
音楽・映画から活字コンテンツに広がる定額制の衝撃

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第173回】 2011年12月8日
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 さて、オンラインゲームの世界ではサブスクリプションモデルがかなり広まっている。世界のデジタルコンテンツ消費のうち39%とトップを占めるのはゲームの世界。消費が増えれば増えるほど、ユーザーはサブスクリプション・モデルへの移行を好むのかもしれない。

 新聞や雑誌はどうか。もともと「サブスクリプション」というのは、新聞や雑誌の年間契約という意味で使われ始めた言葉。だが、これらはデジタル時代になって無料でコンテンツを公開したために、その後苦戦。今、再びサブスクリプションモデルにたどり着いているところだ。デジタルコンテンツを有料化し、その中でサブスクリプションモデルの選択を提供するというものだ。

 新聞で有料化、サブスクリプションモデルへの移行を図ったところは限られているが、ウォールストリートジャーナル、ニューヨークタイムズは比較的成功しているようだ。ニューヨークタイムズは、今年初めに本格的なサブスクリプションモデルを提供し始めたが、9月までの6ヵ月間に有料契約者数が25%アップし、120万人に増えたという。

 雑誌については、デジタルコンテンツ化で1部あたりの価格が実質上は高くなったため、うまく離陸できていないのが現状だ。だが、タブレットコンピュータやスマートフォンによってデジタル雑誌のサブスクリプションへの関心が高まりつつあり、アップルがiPad用に10月半ばに始めたデジタルニューススタンドでは、雑誌社大手のコンデナストの有料契約者数が2週間で268%増となったという。複数の雑誌出版プラットフォームを提供するデジタルマグは、1週間で1150%増となったとしている。

 そうした中、びっくりするようなサブスクリプションモデルを計画しているとされるのが、アマゾンだ。電子書籍が読み放題になるサービスを、やはりプライム会員向けに検討中で、出版社との交渉に入っているとのことだ。

 アマゾンは、新しく発売した自社タブレットのキンドルファイアとプライム会員との親和性を高めて、積極的にユーザーの囲い込みにかかっており、この電子書籍読み放題もその一環と見られる。

 ユーザーが、一体サブスクリプションモデルに大きくなびくかどうかは、今のところまだ不明だ。コンテンツを提供する側から見れば、サブスクリプションモデルはユーザーを囲い込むことができる利点があるものの、コンテンツ制作者との契約料、インフラへの投資などとの兼ね合いが勝負となる。ユーザー側にとってみれば、サブスクリプションモデルは便利ではあるものの、ひとつのプラットフォームに縛られてしまって抜け出せなくなる危険性がある。

 値段とコンテンツ量、そして配信の速度、デバイスとの親和性など、多様な要素が今後の勝者を決めることになる。闘いはこれからが本場だ。


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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

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