その後、電力各社がさみだれ式に、規制庁に報告を行う事態になり、結果的に対応が後手に回った。

 関電、九電の両社は、再稼働延期の理由について、神戸製鋼のデータ改ざん問題への対応に時間がかかるためとしている。

終わりが見えない安全確認

「給与の完全復活が遠のいた」。ある関電社員はこう嘆いた。

 関電も九電も早期に原発を再稼働させ、収益を改善させるシナリオを描いていた。特に関電は大飯3、4号機を再稼働させた後に、電気料金の値下げを予定していたが、そのスケジュールも先送りになってしまった。

 電力業界からは規制委に対する恨み節も聞こえてくるが、更田豊志委員長は「むちゃなことを言っているつもりはない。原発を運用する者としての責任」と意に介さない。今後の対応も、「長期戦になる可能性はある」と述べた。

 つまり、神鋼ショックによる、電力業界への“とばっちり”は、まだ終わりが見えないのだ。

 電力各社は、まずは原発の安全上重要な機器に絞って安全確認の調査を進めてきたが、今後は調査対象を広げざるを得ない。

 神戸製鋼の報告書によると、データ改ざんは5年以上にわたって行われていた。さらに過去へさかのぼって調査が必要になる事態も予想される。

 やはり原発は、見通しの立たない事業。今後も“外野”に振り回される可能性は少なくない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)