気づけば未来の心配ばかりで、いまを味わう余白がない――そんな感覚はありませんか。今日ここにある小さな喜びを見過さないためにはどうすればいいでしょうか。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

未来が幸福をもたらしてくれると思って、急いで追いかける一方、現在には目もくれず、いまを楽しむこともなく、見過ごしてしまう人たちがいる。

いまを大切に過ごす

未来が幸福をもたらしてくれると思って、急いで追いかける一方、
現在には目もくれず、いまを楽しむこともなく、見過ごしてしまう人たちがいる。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

「いつか」は便利な希望だが、今日を薄くする危険もある。

昇進、貯金、理想の暮らし――未来の条件がそろうまで幸福を保留すると、日々は準備だけで終わってしまう。

ショーペンハウアーは、幸福を足し算で先延ばしするより、いまの苦痛を引き算で減らす方が現実的だと見た。

まず、今日の満足の条件を小さく決める。

「睡眠を確保する」「昼に外を五分歩く」「一つだけ終わらせる」のように、行動で言えるものにする。

終えたら印をつけて区切る。

未来に向けた大きな目標は残しつつ、毎日の手応えは今日の単位で作る。

次に、「まだ足りない」思考を点検する。

未来の到達点と現在の自分の間に、無限の不足を並べ始めたら、一度手を止める。

比べる相手を他人ではなく、昨日の自分だけにする。

速度より向きを確かめれば、焦りは弱まる。

さらに、楽しみの形式を小さくする。

旅行でなくても、帰り道に好きな店に寄る。

長時間の読書でなくても、気になるページを三枚だけ開く。

完全な条件がそろうまで待たず、短いよろこびを今日の時間に差し込む。

そして、いま起きた良いことを三つ、名詞で書く。

「朝の光」「丁寧な挨拶」「静かな十分」――理由や評価を足さず、事実だけを並べる。

幸福はしばしば鈍く、苦痛は鋭い。

だから、見過ごしやすい幸せに名前をつける習慣が要る。

未来は必要だが、今日を犠牲にしてまで祀り上げるものではない。

明日は目標として持ち、幸福は今日の大きさで受け取る。

その切り替えができるほど、未来は敵ではなく味方に変わる。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)