芸人・平野ノラさんの人気や、キリンビバレッジのPR動画「トレンディの法則」などで、バブル時代が再注目されている昨今。バブルはすでに約30年も前のこととなり、日本の状況はすっかり変わってしまった。今の20~30代はバブルの恩恵にあずかることがなかった世代。それだけに、バブル世代との「消費」に関する考え方のギャップは大きいだろう。今年ヒットした書籍『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』(小学館)の著者を迎え、若者たちのお金の使い方について話を聞いた。(取材・文/むらたえりか、編集協力/プレスラボ)
若者はお金を使わない?
浪費の実態を記録した『浪費図鑑』
少子高齢化が進み経済が縮小する一方の現代。「若者のクルマ離れ」「ビール離れ」など、現代の若者が金を使わないことは盛んに言い立てられてきた。しかしそんな中にありながら、今年ヒットした書籍が『浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話―』だ。この本の中で紹介されているのは、若い女性たちが「浪費」する姿。
本書には「ホストで浪費する女」「東京ディズニーリゾートで浪費する女」など、自分の愛する対象にとことんお金を使う女性たちが経験談を寄稿している。例えば、韓流アイドル・EXOのファンの女性「EXOで浪費する女」は、韓国やアメリカなど海外へコンサートを見に行くために、年間で約130万円をEXOに費やす。“通帳の残高を見て「お金ない」と思うことはある”(p.27)というが、そこに悲壮感はなく、ただただ愛おしいものにお金を使う幸せな気持ちが綴られている。
『浪費図鑑』は、2017年8月の刊行から約1ヵ月で発行部数が4万部を超えた。テレビ番組「王様のブランチ」(TBS系列)や「5時に夢中!」(TOKYO MX)でも紹介されており、12月発売の雑誌『ダ・ヴィンチ 2018年1月号』(KADOKAWA)の企画「BOOK OF THE YEAR2017」のエンタメ・実用書ランキングで10位にランクイン。音楽家・文筆家の菊地成孔さんは「いまの日本で一番面白い本」と帯にコメントを寄せた。