薬師寺東塔。現在は修復工事中(2020年完了予定)

寺社仏閣、子どもの頃の一番のお気に入りは奈良・薬師寺

 小中学時代からお寺や神社、仏像が好きでした。休みの度、福井から祖父母の住む大阪にひとりで泊まりに行っては、京都や奈良を歩き回りました。法隆寺、薬師寺、興福寺、東大寺に石舞台古墳。東寺、南禅寺、三十三間堂、徳大寺に光悦寺。大学生になってからは出雲や平泉など、全国の寺社も対象になりました。

 ただ子ども時代、一番気に入っていたのは奈良・薬師寺でした。「ゆく秋の 大和の国の 薬師寺の 塔の上なる 一ひらの雲」(佐佐木信綱)の薬師寺です。

 最初に訪れたのは小学生の頃。中門も回廊もなくガランとした敷地に、東塔などが建つだけ(*1)でした。でも薬師寺東塔は、730年(天平2年)の創建以後、数々の火災や戦火を逃れ、1300年の永きを全うしてきた薬師寺唯一の建築(*2)です。

*1 江戸後期に再建された金堂、講堂もあった。後にいずれも建て替えられた。
*2 建築様式としてはその前の白鳳時代のもの。