経営の混乱期に登板してから2年弱が経過した。構造改革の進捗と新興国二輪車事業を主軸とした成長戦略について聞いた。

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──2011年12月期決算で営業利益率5%と、中期経営計画の目標値を1年前倒しで達成する見通しだ。計画の進捗状況は。

 為替の影響を除けば、狙ったシナリオどおりになっている。930人の人員削減、2工場の閉鎖など痛みを伴う構造改革に着手し、成長軌道に乗った。合理化の“副産物”も生まれている。

 工場集約によって余った間接部門の人員90人を生産技術の開発へ振り向けた。彼らは、機械加工工程に要する時間を半減するなど、100テーマもの課題解決に注力している。日本発の生産技術を、生産能力の大きい海外工場へも持ち込むことでコストダウン効果を最大化させたい。

──連結営業利益の8割を稼ぐ新興国二輪車事業の成長戦略をどのように描いているか。

 20年に現状の約2倍に相当する世界販売台数1600万台、シェア2割を目指す。堅調なASEAN地域では、若者文化の象徴である「スポーツ、音楽、ファッション」を軸に企業イメージを高めて、販売拡大につなげたい。

 喫緊の課題は、新興国で唯一赤字となっているインド市場だ。当社の主力モデルは約6万ルピー(約8.8万円)だが、ブランド力のある地場メーカーの低価格モデルが約4万ルピー(約5.9万円)で大量投入されている。低価格モデルの拡充により、挽回したい。