頑固でも、意地悪でもない…融通が利かない人の「納得の正体」〈風、薫る第95回〉『風、薫る』第95回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第95回(2026年8月7日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

月12円の高待遇

 赤痢が収まり、避病院(伝染病専門の隔離施設のこと)も解散。

 水差しを拭くりん(見上愛)。最後の道具を仕舞うと、ホッとしたように座り、じっと手を見る。ザワザワとする風。

 りんの手を直美(上坂樹里)が握り、握手の体勢に。「やったね」、うれしいふたり。

 すこしの沈黙のあと、りんは「ずっと患者さんに触れるのが怖くて」と語りだす。

「だけど…アサ(美山加恋)さんに手を握られたとき、その手があたたかくて、生きているんだなってうれしくなって」

 そこでりんは立ち上がる。

「直美さんと…看護婦としてもう一度一緒に働きたい」。明るい日差しがふたりを照らす。

 直美は、実はりんを誘いに来たのだと告白する。本当は派出看護がうまくいってないと言うと、りんは「どうしようかね…」。え、いまさっき、一緒に働きたいって言ったのに。その思いはあるが、いますぐということではないということか。

 りんを欲しているのは直美だけではない。

「1年間だけ、うちで働かないか?」と黒川(平埜生成)が迫る。月12円出すから、1年で100円貯まると高待遇を提示してきた。

「先生太っ腹」と直美。月12円は帝都医大のりんたちの初任給10円より高い!

 一年で100円貯めるには、毎月8円の貯金が必要。月給が12円なら、使えるのが4円。それで生活できるのだろうか。東京への仕送りはどうなってる? 黒川の経済感覚がよくわからない。

 明治時代の給料事情は第62回のレビューから抜粋しよう。

 前作『ばけばけ』では、『風、薫る』と同じ明治時代、ヘブンの家の女中奉公は20円。旅館の奉公は90銭、小学校の教師は4円、ヘブンの月給は100円。主人公のトキは女中で月給20円もらっていた(いずれも月給)。