『風、薫る』第54回より 写真提供:NHK
朝ドラこと連続テレビ小説『風、薫る』(NHK)の主人公・一ノ瀬りんを演じる見上愛さん。NHKの朝ドラといえば国民的番組である。半年間、毎朝15分放送され、撮影も含めると1年以上携わる。なかなかない体験をしている見上さんにインタビュー。日本ではじめてトレインドナースになった実在の人物をモチーフにしながら「看護とは何か」を追求していくお仕事ドラマでもある。見上さんの仕事に対する取り組み方についても聞いてみると、役との向き合い方にも通じる、印象的な言葉を返してくれた。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
特に印象深い「2つの反響」
――朝ドラに出演した反響を感じていますか。
反響をたくさんいただいています。新潟編に入り新潟ロケをしたとき地元の方から『一ノ瀬りんさん』と声をかけてられました。いろいろな人に声をかけていただけること、しかも役名で覚えてくださっていることがとてもうれしいです。
身近な人たちからもいろいろな感想をもらっています。
たとえば、転職活動のために勉強をしている友人が、朝8時から8時15分の朝ドラを見て、そこからまた勉強をしているそうなんです。その彼女が『うまくいかないなと感じる日でも、主人公の2人が頑張っているから、私も頑張ろうと思えて、これが朝ドラなんだと思った』と言ってくれて。
1人の人物の人生を長く歩んでいるからこそ、伝えられることなのかもしれないと思いました。
もう1つは、お母様の介護をされている恩師の言葉です。ふだんは感情の起伏が淡くなっているのが、ドラマを見ているときだけは笑ってくれる。りんの愛唱歌である『おっちょこちょい節』も一緒に歌ってくれていると聞いて、とてもうれしくなりました。
実際に、看護師を目指されている方や看護師の方からのメッセージも届いているのを時々見せていただいています。この作品で、いま実際に働いている方々の背中を押せているのだということも光栄です。
――1年かけて「長く1人の人生を歩んでいる」ということはなかなかないことと思います。経験してみて何かご自身にもたらしたことはありますか。
これまでは、同時期に4本の作品を撮影するということもありました。もちろん一作一作、大事に向き合っていましたが、やっぱり1年間、ひとつの役に向き合うためには、それだけ時間を費やすということで、思考がとても深いところまで行けると感じています。
それと、映画では、脚本がすでに出来上がったうえで撮影が始まることが多いものですが、ドラマ――特に朝ドラは撮りながら次々と新しい台本が上がってきて、結果から逆算するような役の作り方ではないんです。
そのやり方もとても勉強になっていて、今後に生かされるのではないかと思います。ただ、まだ撮影真っただ中なので、クランクアップして、ある程度時間がたったときにはじめて感じることがあるのではないかという気がしています。







