バブル景気を知る人には実感がないが、各種統計上では、現在の景気回復期間がバブル期はもとより、「いざなぎ景気」も超えて戦後2番目の長さとなった。景気は循環するものであり、悪いときも必ず来る。社内でさまざまなプロジェクトを立案し、実行する際はそれを忘れてはならず、用意周到な段取りが必要だ。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)
景気は循環するのを
コンサルタントは留意すべし
毎年クリスマスの時期になると思い出す母との滑稽なやり取りがある。1990年、私が大学4年の時の話で、折しも世間はバブル絶頂期のことだ。
クリスマスイブを間近に控えたある日、アルバイトに行こうと玄関で靴を履いていた私に母が突然「あなたも大変ね。クリスマスで彼女のために使う金額が、今年は平均7万円ですってね」と言い出した。
私は、なぜ母が突然そんなことを言い出したのか分からず狼狽したが、話の内容は分かったので、「社会人も含めたら、それぐらい使う人も中にはいるんじゃないの」と平静を装い返事をした。
母は畳みかけるように「大学生の話よ。平均が7万円だって。この前テレビで言ってたわよ。それじゃ、バイト頑張ってね」と言いながら奥へ引っ込んでいった。私は、とてつもない焦りと動揺を抱えて玄関を出た。7万円という金額に腰を抜かしそうだったし、何より焦っていたのは肝心な相手がいなかったからだ。
内閣府の景気動向研究会やシンクタンク各社、アナリストなどの発言を見ると、各種の経済指標から現在の景況は成長を続ける期間という観点から「バブル期を超えた」と言われている。