協議離婚をした後、慰謝料、養育費などの支払いに関して、後々揉めないために「公正証書」にしておく方法があります。最新刊「男の離婚ケイカク」(主婦と生活社)より離婚時の公正証書について紹介します。(露木行政書士事務所代表 露木幸彦、文中は仮名)
公正証書を作成するメリット
支払い止まったら財産を差し押さえ可能
公正証書とは法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。離婚時の公正証書の場合、夫婦2人が署名し完成します。離婚時に、わざわざ手間暇かけて公正証書を作成するメリットは「お金の支払いが止まった場合、相手の給与など財産を差し押さえて未払い分を回収できること」です。
特に夫が子どもの親権を持つ場合、妻に慰謝料や財産分与、解決金等の支払いを要求することは難しいので、「養育費」だけで収束するケースが圧倒的に多く、そんなときに頼みの綱になるのが公正証書です。
作本健人さん(36歳)の妻(34歳)は息子さん(7歳)を置いたまま実家に戻り、結局、そのまま離婚が決まり、息子さんは健人さんが育てることになりました。妻は実家近くの会社へ契約社員として就職したそうですが、いかんせん、妻はまだ試用期間中です。
妻は不倫相手と一緒になるために家を出たようです。慰謝料等は断念したので、せめて養育費だけはきちんと満額回収したいところです。どのような公正証書を作成すればいいのでしょうか? 今回は健人さんのケースで私が作成した実際の文面を紹介しつつ、どのような意図でこのような文面を残すに至ったのかを説明していきます。