もう20年以上も前のことだが、私は一度だけ北朝鮮に行ったことがある。

 IPU(列国議会同盟)の総会がピョンヤンで開かれ、私も日本の代表団の一員として参加したのだ。この会議には、世界各国の国会議員が参集したが、日本も自民党の塩崎潤氏を団長に、7、8人が超党派で参加した。

 われわれは、予定のない日に、2つのプロペラのある大型ヘリコプターで、今、工業団地のある開城(ケソン)や板門店(ハンモンテン)などを視察した。

 空から見る北朝鮮の自然は実に素晴らしく、景観の美しさは目を見張るものがあった。

 北朝鮮は、豊富な地下資源を持つことで知られているが、その上、こんなに見事な観光資源を持っている。もしもこの国が世界に開放されていれば、おびただしい観光客が訪れるだろうと確信した。“宝の持ち腐れ”とはこういうことを言うのだろうと思った。

豊富な鉱物に観光資源
“南北統一”がもたらす多大なメリット

 金正日総書記の死去によって、北朝鮮の1つの時代が終わり、大きな転換の機会が訪れている。

 北朝鮮が大きく変わることは間違いない。しかし、良い方向に変わるか、それとも今までの路線が延長され、もっと悪い方向に変わるかはわからない。

 願わくば、北朝鮮にとっても、国際社会にとっても良い方向に変わってほしい。

 日本人拉致問題の全面的解決。ミサイルや核兵器の放棄。「先軍政治」から「先民政治」への転換。経済の改革・開放。“南北統一”に向かっての前進。

 北朝鮮が、こんな夢のような転換をすれば、国際社会はいかなる支援も惜しまないだろう。

 北朝鮮には、群を抜く鉱物資源と観光資源がある。南北が統一すれば、1+1が3になるほど韓国経済を補完する。当初は、第一次産業を充実させ、安価な労働力を供給すれば、朝鮮半島全体が世界経済で大きな役割を果たすことができる。