国がいよいよ本腰を入れる「引きこもり支援事業」の本気度とは?厚労省は18年度、「就労準備支援・ひきこもり支援の充実」費として、新たに総額13億円を来年度予算案に計上した。国の「本気度」はいかほどのものか(写真はイメージです)

新たに13億円を予算計上
引きこもり支援事業「4つの柱」

 年末から年始にかけて、「大人の引きこもり」というテーマを巡るマスメディアの報道が相次いだ。支援事業は、主に4つの柱で成りっている。支援への国の「本気度」はいかほどのものか。

 1つは、朝日新聞が1面トップで伝えた「8050問題」(親が80代、収入のない子が50代)家族の直面する現実。もう1つは、共同や時事などが報じた「内閣府は18年度、40歳以上の『中高年ひきこもり層』についても初めて調査して実態を把握する」というニュースだ。

 そんななか、厚労省は18年度、「就労準備支援・ひきこもり支援の充実」費として、新たに総額13億円を来年度予算案に計上した。国の「ひきこもり施策」の方針は、2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法を法的根拠に、若者自立支援から福祉施策へと切り替わりつつある。施策の窓口となっているのが、同省の社会援護局だ。支援事業は、主に4つの柱で成りっている。

 その柱の1つは、引きこもる人や中高年齢者などのうち、ただちに就労を目指すことが困難で、家族や周囲との関係が希薄な生活困窮者に対し、家庭訪問(アウトリーチ)などによる継続的な個別支援を重点的に実施するという「就労準備支援事業」だ。

 この事業は、地域において対象者がなじみやすい行事や商店街、社会福祉法人、企業などの就労体験先を開拓、マッチングする取り組みも推進するというもの。ただし、任意事業のため、市町村が実施することによって、訪問などの個別支援にかかる人件費や管理費として国が3分の2を補助する。

 この事業を巡って、昨年12月12日付けて産経新聞が「自治体に義務付け検討 厚労省」という記事を報じた。

 厚労省に聞いたところ、生活困窮者自立支援法の改正案提出に向けた「社会保障審議会」の部会の中では「必須化すべき」という意見が出たものの、全自治体における同事業の実施率は約4割と半数にも届いていないなかで、「必須は妥当なのかという議論が省内でされている段階であり、事前に取材は受けていない」という。