効果が上がらないアベノミクスを
再び勢いづけるための “カード”

「デフレ脱却」を掲げて、日銀の異次元緩和などによるアベノミクスが始まって5年目。景気拡大が続いているとはいえ、GDPの平均の伸び率は実質1.6%程度と、かつての「不況期」並み。デフレ脱却の象徴として掲げる「2%物価(上昇)目標」の実現時期も6回先送りされてきた。

 当初のシナリオは、超金融緩和政策で「円安、株高」にすることで、輸出企業の収益や富裕層の“懐”を豊かにすれば、雨のしずくがしたたり落ちるように、働く人たちの所得も増えて消費が回復、投資も増えて経済の好循環につなげるというものだった。

 だが現実は、企業収益こそ高水準を続けてきたものの、賃金は増えず消費は低迷したまま。設備投資も国内市場が縮小する中で、どれだけ政策をふかしても、「第2段目のロケット」に点火しない状況だ。その一方で、企業の内部留保は12年度から5年間連続で過去最高を更新し続ける。

「そもそも、経済界に要請されて法人税率を下げたのに、企業は内部留保でずっとためこんでいる。これでは世間は納得しない」(野田毅・前自民党税調会長)。

 こうした不満は与党からも聞こえてくる。

「トリクルダウン政策」の歪みがはっきりし、「人づくり革命」や「生産性革命」を新たに打ち出したものの、効果はすぐに期待できない。そうした中で、税制の「アメとムチ」によって「3%賃上げ」を果たして消費増につなげることが、「賞味期限切れ」と言われるアベノミクスに再び勢いをつける“カード”というわけだ。

 だが、果たして効果は期待できるのだろうか。

「3%」の賃上げが行われたのは、1994年(3.11%)が最後。2000年以降では2.2%が最高で、17年春闘は1.98%だった(連合集計)。