3%という賃上げ率自体も
「数字ありき」が実態

そもそも賃上げの基本になるのは、「生産性の上昇率」だ。

 賃上げのメカニズムを簡単に説明すると、企業が土地や設備(技術)、労働力を使ってより効率よく、付加価値の高い(高く売れる)商品を作ることで、売り上げ(所得)を伸ばし、その結果として、働き手に賃上げという形で分配される。

 ここで重要なのは、生産性の上昇率の範囲内で、賃上げを実施するということだ。例えば70年代、米国などでは、生産性の上昇率を超えた賃上げが行われために、不況下でのインフレを招き、一転して賃金抑制政策に踏み切らざるを得なかった。一方、日本では、賃上げを生産性の上昇の範囲内に抑える「生産性基準原理」のもとでの賃上げを労使が合意し、石油危機の苦境を乗り越えた。

 だが、今の日本経済は、生産性上昇率や潜在成長率が0.5%程度。そうした中での「3%賃上げ」は、かなり高いハードルだ。

 昨年末にまとめられた今年度の政府経済見通しでは、実質成長率は1.8%増、個人消費は1.4%増を見込み、7月時点の1.4%、1.1%からそれぞれ上方修正された。「春闘の賃上げによる所得増加が消費を押し上げる」ことなどを理由にしているが、その根拠は、いまいちはっきりしない。

 そもそも「3%」という賃上げ率自体も、関係者が語るのは「数値ありき」の内情だ。

「名目成長率3%を経済財政運営の前提としている以上、3%ぐらいは消費が伸びないといけない。そのためには賃上げも3%ぐらいはいかないと。それぐらいの意気込みでやってもらわなければならないということだ」(政府関係者)