政府与党も「そんなに期待していない」
ただ何もしないわけにいかないから

 政府の財政健全化計画(経済再生シナリオ)では、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支、国と地方)黒字化の前提として、成長率は「名目3%以上、実質2%以上」を見込む。だがこの計画自体が、高めの成長でかさ上げしたもので、今年中には「練り直し」が予定されている。

「現実離れした数字とは分かっていても、こうした前提でなければ財政健全化も、経済運営も回っていかない」(同)という事情があるのだ。

 一方で、野田・前自民党税調会長はこう話す。

「減税制度を利用するかしないかは企業の判断だし、水をかける言い方をすれば、そう期待もしていない。かといって、政府が何もしないというわけにはいかない」

 何やら、「2%物価目標」がおいそれと実現しないのは分かっていながら異次元緩和をやめられない日銀と、構図は同じようだ。

 成長率や物価、賃金が上がらなくなった背景には、人口減少による市場の縮小や、超高齢化による財政負担の増加、将来不安といった国内事情に加え、海外ではグローバル競争の激化などの根深い構造問題がある。

 そうした現実から目を逸らし、根拠のあいまいな数値目標をかかげて鐘や太鼓ではやし立て、「期待」や「マインド」に働きかける。それが「賞味期限」になれば、また「深掘り」と称して小手先の政策が打ち出される。当初は短期的な政策だったはずなのに、慢性化してしまう。金融緩和や減税は誰にも「居心地」がいいから、根本的な問題解決の取り組みも止まってしまう──。

 そもそも所得拡大促進税制も、導入された当初は、その年に予定されていた消費増税の家計への負担増を緩和する狙いの「時限措置」だった。しかし、いつのまにか趣旨が変わり、増税が先送りされてきた間ばかりか、さらに来年度から3年間も続く。まるで「3%賃上げ」は、「2%物価目標」の二の舞だ。

 中島みゆきの『永遠の嘘をついてくれ』にあった歌詞、「君よ永遠の嘘をついてくれ、いつまでも種明かしをしないでくれ」を思い出す。だが、男女の愛に「永遠の嘘」はあっても、今の日本にその余裕はないはずだ。