保護主義路線は明確な失策
「株式市場」は防波堤になり得るか

 人事の入れ替えが気になるのは、コーン補佐官に代表されるグローバル派の減少が、保護主義への追い風になりかねないからだ。経済に好ましい政策が実現し難い環境になる以上、2年目のトランプ政権にとっての活路は、たとえ税制改革のような成果は挙げられなくても、できるだけ失策の少ない政権運営であるはずだ。

 保護主義への傾斜は、最も分かりやすい失策になり得る。正念場となるのは、通商政策が節目を迎える18年の前半だろう。この時期は、鉄鋼やアルミ製品に関する輸入制限や、知的財産権の取り扱いを理由とした中国に対する制裁措置等、17年から持ち越された係争案件への判断が下されるタイミングとなる。NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉もヤマ場を迎えており、1月下旬には6度目の交渉に入っている。トランプ大統領は、1月30日に2年目の施政方針を示す一般教書演説を行う。こうした晴れ舞台で、「米国第一主義」をあらためて強調する可能性は軽視できない。NAFTAからの脱退をほのめかす等、衝撃の大きい発言が懸念される。

 そうした中で、保護主義に対する新たな防波堤としての役割が期待されているのが、好調な株式市場だ。政権内のグローバル派や自由貿易を支持する共和党議員は、トランプ大統領に保護主義への傾斜を思いとどまらせるために、保護主義に傾斜した場合の株式市場への悪影響を強調しているという。

 事あるごとにツイートしているように、好調な株式市場はトランプ大統領の最大の誇りである。その株式市場を混乱させかねないという警告であれば、トランプ大統領も聞き入れるだろう、というわけだ。

 実際に、最近の米国では、NAFTAの再交渉に関して、トランプ大統領が態度を軟化させているとの見方がある。株式市場を使った警告が、トランプ大統領の琴線に触れたことが一因だという。

 株式市場が好調であれば、トランプ政権が無理な政策を講ずる理由が少なくなる余地はある。同時に、トランプ政権の失策が少なければ、株式市場には好材料となる。株式市場とトランプ政権の「持ちつ持たれつ」の関係が、18年の焦点になるのかもしれない。