2012年1月10~13日、世界最大の家電見本市であるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が米国ネバダ州ラスベガスにて開催された。今回で46回目の伝統ある見本市の出展企業は約2700社を数え、来場者は14万人を超えた。にぎわう会場の中でも、ひときわ華やかな次世代テレビの姿を追った。
見ろ、1枚の「絵画」が空中に浮いているようじゃないか──。
2012年1月10日に幕が開いた世界最大の家電見本市のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)。来場者が真っ先に駆けつけるメインホールで、黒山の人だかりをつくったのが、サムスンとLGの韓国メーカー2社が発表した55インチの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビだ。厚さ5ミリメートル前後の極薄のディスプレイをひと目見ようと、カメラ片手に押し合いを演じた。
有機ELは多くの日本メーカーが開発を競ってきたディスプレイだ。しかしいまやテレビビジネスで優位にある韓国勢が、巨額の投資資金を背景に、液晶テレビを“塗り替える”のは自分たちと言わんばかりの勢いにある。
しかも、今年夏のロンドン五輪で市場投入した後、一度は撤退した日本に有機ELテレビを武器に再参入する。
そんな背景もあり、その場に居合わせた日本メーカーも対抗心をあらわにした。
「いずれ液晶やプラズマは変わりうる。マジョリティメーカーが参入するものが、デファクト(標準)になる可能性が大いにある」(大坪文雄・パナソニック社長)。そして15年までに、有機ELテレビの市場投入を示唆した。
ソニー幹部も「やらないわけにはいかない」と話して、もはや無視できない存在であると認めた。