・その結果として、今のデジタル時代は、非常に有害でおそらく不可逆的な事態が、人間の注意力や意識に起きつつある。それは単に集中力の低下(distraction)や中毒に止まらない。ソーシャルメディア企業は、人々から自主自律の精神(autonomy)を奪いつつあるのである。人々の関心や意識を形づくる力は、ごく少数の企業にどんどん集中してしまっている。

・ジョン・スチュアート・ミルがその重要性を訴えた “精神の自由”(freedom of mind)を人々が確立して維持するには、多大な努力を要する。それを一度失ってしまうと、デジタル時代に育った人々がそれを回復させるのは非常に困難であろう。

・これは社会や政治にも非常に大きな悪影響を及ぼす。精神の自由を失った人々は容易に意識をコントロールされてしまう。このリスクは将来のことではない。それはすでに2016年の米国大統領選に大きな影響を及ぼした。

・そして、もし人々の関心や意識をコントロールできるそれらデータ独占企業と独裁国家が連携し出したら、ジョージ・オーウェルなどが想像した以上の全体主義的な監視社会ができかねない。それが起きそうな国はロシアと中国である。

・強大なプラットホーム企業は自らを全能の神と思っているかもしれないが、実際には彼らは自分の支配的な地位を維持するのに追われているだけである。適切な規制と税制の導入により、彼らの支配力を低下させるべきである。

スマホやSNSに対する日本の
問題意識はグローバルとかけ離れている

 ソロスの演説のうち関係部分を引用したのは、べつに私の主張が正しいと主張するためではありませんし、ソロスが言っていることが正しいと強要するつもりも全然ありません。スマホやソーシャルメディアが普及してまだ10年しか経っていませんから、何が正しいのかがわかるはずはないからです。