それよりも、この演説を通じて理解してほしいのは、日本国内の世論や考え方は、グローバルな問題意識とはかなり異なっているということです。

 スマホやソーシャルメディアについて言えば、日本人は概して新しい物や流行り物が好きで、またテクノロジー系の新しい潮流は無条件に受け入れて賛美する傾向があるので、その問題点を考えたり議論したりする風潮は、非常に乏しいように見受けられます。

 しかし、グローバルな議論はすでにその一周先に行っており、データ独占の弊害、ソーシャルメディア企業によるデータ独占が人々や社会に及ぼす悪影響が懸念され出しているのです。

 もちろん、なんでもグローバルが正しいと言う気はありません。ただ、何事もプラスの面もあればマイナスの面もあるのが世の常ですから、グローバルな議論の動向へのアンテナを高くして、今後一層深刻になるデータ独占やソーシャルメディアの問題点について、少しでも多くの人に早めに問題意識を持ってほしいと思っています。

生産性を高めて収入を増やす
スマホやSNSとの「付き合い方」

 最後に宣伝になってしまい恐縮ですが、私の著書『オリンピック恐慌』が幻冬社から発売になりました。今の安倍政権の経済運営では2020年以降の日本経済はかなり悪くなるはずですので、そこで困らないようにするために個人は今からどのような準備をすべきかについて書いています。

 最後の章では、個人の生産性を高めて収入を増やす観点から、スマホやソーシャルメディアが持つリスクと、それに個人がどう対処すべきかについて詳しく書いています。この問題に関心のある方は、ぜひご一読いただければと思います。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)