1月24・25日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、米国の中央銀行、連邦準備理事会(FRB)の積極姿勢を見せつけるものとなった。

 市場関係者を驚かせたのが、まず超低金利政策の延長だ。FRBは昨年8月、2013年半ばまで「異例の低金利政策」を続けると発表したが、今回これが「14年終盤まで」に延長された。

 失業率が4ヵ月連続で低下、ISM製造業指数(製造業の景気先行指標。50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退)は52.7から53.9に上昇するなど、12月の各種指標では、米国経済の状況は悪くないように見える。

 にもかかわらずこのような政策を打ち出したのは、FRBが景気回復の実態を、かなり慎重に見ているからだ。実際、低下傾向とはいえ失業率はいまだ8.5%という高さで、低下したのも求職を断念した人が増えた、という面が大きい。米国経済のカギを握る住宅市場も、12月の新築販売件数が前月比▲2.2%など、依然低迷が続いている。

 もう一つ、注目すべきは、今回のFOMCから、参加委員の政策金利の先行き予想が示されるようになったことだ。“市場との対話”の一環だが、ここまでやるのは先進国では例がない。

 狙いは、「情報公開で不確実性という霧を晴らし、市場と当局との腹の探り合いのなかで金利が上昇するのを防ぐ」(小野亮・みずほ総合研究所シニアエコノミスト)ことである。「時間軸効果(金融緩和の継続を約束することで生じる金利低下)を強化するため」(桂畑誠治・第一生命経済研究所主任エコノミスト)との見方もできる。

 異例の試みだけに、懸念もある。各委員の予測と実際の金融政策が乖離するとかえって懐疑を招く、利上げに転換しようとするときに引き締め効果が出過ぎる、などのリスクが指摘されているが、FRBの果敢な姿勢を示すものであることは間違いない。「それだけ、景気悪化のリスクが大きいと考えている。前倒しで打てる手はどんどん打っていくということだ」(桂畑主任エコノミスト)。