9月末に安倍首相は、衆院解散を断行した。総選挙公示直前に、小池知事が「希望の党」代表就任を発表し、前原誠司民進党代表が党の事実上の解党、希望の党への合流を決めた時点では、「一挙に政権交代か」というムードが生まれた(第168回)。だが小池知事の、憲法・安全保障という基本政策の一致しない議員を「排除する」という発言で、流れが変わった。希望の党に公認されなかった候補者たちが「立憲民主党」を結党し、野党が分裂した。連立与党はいわば「敵失」によって、衆院選に大勝した(第169回)。

 選挙後、安倍首相は支持率低下で一度は消えかけたと思われた「憲法改正」の実現を再び訴え始めた。国政選挙5連勝を達成し、改憲の国民投票発議が可能となる衆参両院で3分の2の議席数という圧倒的多数を獲得したからである。また、国会で野党は森友学園・加計学園問題の追及を続け、昭恵夫人や財務省幹部の証人喚問を要求したが、与党は拒否した。

 それだけではない。安倍首相は、総選挙後の特別国会を「必要最低限」開催する方針を語った。野党や世論の猛反発を受けて、衆参本会議での所信表明も代表質問や予算委員会も開催することになったが、次に与党は野党の委員会での質問時間を削る要求を打ち出した。

 従来は「野党8、与党2」の割合で質問時間が配分されていたが、自民党はより議席数に沿った配分が「民意」であるとして、「野党5、与党5」を主張した。再び野党の猛反発を招き、最終的に「野党2、与党1」で折り合ったが、衆院選の圧勝によって、首相は「謙虚な姿勢」を捨てた。権力を濫用する傲慢な姿勢に戻ったのである(第171回)。

野党は政策論争ができず
安倍首相の「人格攻撃」をするしかない

 繰り返しになるが、野党側も国会では安倍首相の「驕り」、「傲慢な国会運営」、「隠ぺい体質」の批判に終始した1年だったといえる。この連載では、従来、日本政治では政治家の意思決定への不当な関与を立証するのは難しく、今回の森友学園問題でも、首相夫妻の関与を証明する決定的な事実は掴めないと指摘してきた(第153回)。

 もちろん、通常国会に入ってからも、財務省が森友学園に関する新しい文書を20件国会に提出するなど、これまでの財務省の「適切に処理をしてきた」という説明を根底から崩す、新しい事実が次々と判明している。昨年3月の佐川宣寿理財局長(当時)の「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」という国会答弁と全く合致しないものであり、これらの事実については、野党が追及するに値する十分な合理性があるだろう(第172回)。だから、この連載では、「財務省をスケープゴートにすること」を、この問題の「落としどころ」とすべきだと主張してきた。