終戦後には、20代から70歳以上のすべての世代で、女性の方が男性よりBMIが高かった。すなわち、男性の方が女性より痩せていた。食料や保健医療が十分でなかった時代に、出産の安全などを考えて、男性が女性に栄養を多く分けていたといえよう。

 戦後の経済発展は、日本人の栄養状態の改善をもたらし、さらに近年は「飽食」と呼ばれる状況にまで至っている。こうした変化と平行して、男性は、戦後一貫してBMIを上昇させてきており、最近は、肥満が憂慮される状況となっている。

 ところが、女性は全く異なっている。20代の女性は、戦後すぐにBMIが低下する方向に向かった。

 若い女性の“スリム化”を象徴的に示している例として、1959年に日本人・有色人種・アジア人として初めてミス・ユニバースの世界女王となった、児島明子さんのBMIが19.5と「標準」だったのに対し、2人目となった2007年女王の森理世さんは17.6と「やせ」の領域に入った点があげられる(女性医学誌White、2016.4)。

 30代以上の女性は、しばらく男性と同じ上昇傾向をたどったが、30代、40代と年齢の低い順に、20代の若い女性の後を追ってBMIは下降に転じた。この結果、BMIの男女逆転現象が、20代から50代の各年齢層で、次々と1960年代、70年代、80年代、90年代に、また60代と70歳以上では2000年代に起きた。

 男性の場合は、年齢を問わず肥満へ向かう傾向が見られるのに対して、女性の場合は、若い女性から始まって、ついには70歳以上にまで、時間差を伴いながらスリム化志向が支配的となっていったのである。そして若い女性については、さすがに痩せすぎの弊害が健康上問題とされるに至り、官民あげての改善運動の結果、最近では反転している。

 このように、スケールの大きな男女差の進行には、日本人の男女は「果たして同じ生物種なのだろうか」という疑いまで感じるぐらいである。なぜ、女性は自らの体格をこのようにコントロールしたのに、男性はできないのだろうか。