筆者は2000年代中盤から世界各地で開催されるAABCを定常的に取材しており、2010年前後の第四次EVブームの際、AABC自体の参加者数もスポンサー数も急増するという「EVバブル」を実体験した。

 そんなAABCに再び、脚光が当たっている。

 背景にあるのは、VWがディーゼル不正によって世間から食らったネガティブな企業イメージから、V字回復を狙って策定した新規事業計画から派生した、世界各地での「EVシフト」というトレンドである。

欧州委員会の新発表あるも…
欧州でのEV普及はいまだに不透明

2010年頃のAABCバブル期を比べると、大型スポンサーは減ったが、イベント規模として拡大した印象 Photo by Kenji Momota

 欧州のEVシフトの構図について筆者の見立ては、VWが仕掛けて、そこにダイムラーがすぐに相乗りし、その流れをBMWが追い、独自動車部品大手のボッシュとコンチネンタルがサイドサポートに回った、というもの。

 そうした独企業のマーケティング戦略とほぼ同時に、英国とフランス両国の国内政治の案件として、環境問題の観点から自動車に焦点が当たり、「2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を目指す」といった「目標値」を公表した。

 さらに、インドでも「2030年までに国内販売車のすべてをEVとする」との野心的な草案が公表された。本件についてはその後、政権内での意見の相違から事態は変化している。詳細については2月中にインド国内での取材を進め、本連載でも情報公開する予定だ。

 こうした、2016~2017年中盤までのEVシフトの流れに、新たなる動きが加わった。EC(欧州委員会)が2017年11月8日、域内で販売される車両に対するCO2規制値を、2030年に2021年比で30%減とする案を示したのだ。

 自動車メーカー各社の技術開発者は、これまで「世界で最も厳しい排気ガス規制は欧州だ」と口を揃えてきた。具体的には、2021年までにCO2レベルが1kmあたり95gだ。これをクリアするためには、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車など、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンにモーターを加えた電動化が必然だと考えられている。ただし、モーターのみで走行するEVについては「EVがなくても、95g規制は乗り切れる」と見る自動車メーカーがほとんどだった。

ルノーの新型電池パック。ルノー・日産・三菱アラインでEV事業を拡充  Photo by Kenji Momota

 それが今回、2030年までに2021年比の30%減という数字がECから出てきたため、「EVの強化の可能性も考慮するべきか?」という空気に変わってきている。

 繰り返すが、あくまでも「考慮するべきか?」という段階だ。

 なぜならば、ECは今のところ、中国のNEV法(新エネルギー車規制法)や米カリフォルニア州のZEV法(ゼロエミッション車規制法)のように、事実上のEV販売台数規制を考えてはいないからだ。